これからキッチンカーを開業する方のなかには、
など、分からないことだらけでお困りの方がたくさんいらっしゃいます。
そこでこの記事では、
- 移動販売車に必要な資格「食品衛生責任者証」の取り方
- 「営業許可証」がいらなくなる3つのパターン
- 「営業許可証」の4つの注意点と「仕込場所」について
- 「営業許可証」の取得に必要な14の内装設備
- 移動販売車の許可申請の手続き・流れ
の6つのポイントを抑えながら、移動販売車の許可と資格について解説していきます。
結論から言いますと、移動販売に必要なものは①食品衛生責任者証と②営業許可証の2つだけ。調理師免許がなくても開業できます。
ではどうしたらこれらを取得することができるのか。
その具体的な方法からキッチンカーの内装設備について解説していきますので、ぜひ最後まで読み込んでみてください。
(なお保健所の許可に必要なシンクや給排水タンクなど、DIYで自作する方法はこちらの記事↓で解説していますので参考にしてください。)

- 移動販売車に必要な「食品衛生責任者証」を取る方法
- 移動販売車に必要な「営業許可」を取る方法
- 営業許可証取得で間違いやすい4つの注意点
- 営業許可の注意点①|許可取得はエリアごとに行う
- 営業許可の注意点②|営業許可の種類を確認すること!
- 営業許可の注意点③|複数の許可を取得できるか確認!
- 営業許可の注意点④|「仕込場所」について必ず確認
- 移動販売車の許可取得に必要なキッチンカーの設備14
- 移動販売の許可に必要な設備①|水拭きできる「キッチン」
- 移動販売の許可に必要な設備②|水拭きできる「床」
- 移動販売の許可に必要な設備③|キッチンの「仕切り」
- 移動販売の許可に必要な設備④|窓やサッシ・網戸
- 移動販売の許可に必要な設備⑤|換気扇
- 移動販売の許可に必要な設備⑥|照明
- 移動販売の許可に必要な設備⑦|防水・撥水加工の調理台
- 移動販売の許可に必要な設備⑧|手洗い・洗浄用シンク
- 移動販売の許可に必要な設備⑨|水道用蛇口
- 移動販売の許可に必要な設備⑩|給水・排水タンク
- 移動販売の許可に必要な設備⑪|給湯設備
- 移動販売の許可に必要な設備⑫|冷蔵庫・冷凍庫
- 移動販売の許可に必要な設備⑫|電源設備
- 移動販売の許可に必要な設備⑬|備品収納ケース
- 移動販売の許可に必要な設備⑭|蓋付きのゴミ箱
- 保健所で移動販売車の許可を申請する手続き・流れ
- さいごに|消火器の購入と保険の加入も忘れずに
移動販売車に必要な「食品衛生責任者証」を取る方法

移動販売に必要な「食品衛生責任者証」とは?
まず「食品衛生責任者証」というのは、キッチンカーで販売する食べ物の「衛生責任者」のことです。
(詳しくは【外部サイト】食品衛生責任者証とはをご覧ください。)
この資格を取るためには食品衛生協会が主催する衛生講習会の受講が必要ですが、受講さえすれば全員に資格が付与されます。
また、下記の資格を持っている方は改めて取得する必要はありません。
・栄養士
・調理師
・製菓衛生師
・と畜場法に規定する衛生管理責任者
・と畜場法に規定する作業衛生責任者
・食鳥処理衛生管理者
・船舶料理士
・食品衛生管理者、もしくは食品衛生監視員となることができる資格を有する者
出典:東京都保健福祉局
キッチンカーのオーナーでなくても、たとえば奥さんやご兄弟がこの許可証をお持ちで、その方を責任者として申請するのであればそれでもOKです。
食品衛生講習会の内容と受講方法・手数料
下の写真は、わたしが京都府で受けた衛生講習会の「受講修了証書」です。

【講習内容】
公衆衛生学1時間/衛生法規2時間/食品衛生学3時間|合計6時間
【受講料】
1万円程度(都道府県ごとに異なる)
【受講日】
営業許可申請の際に、各保健所から説明あり。
受講内容や料金は各都道府県ごとに多少違いますが、概ね上記と同じような中身だと思います。
なお食品衛生責任者証は全国共通で認められる場合が多いので、他府県ですでに取得済みの方は、その旨を保健所に申告してみてください。
いずれにせよ、食品衛生責任者証については慌てて取得する必要はまったくありません!
それよりもキッチンカーは営業許可の取得のほうが面倒なので、そちらをしっかり確認しておいてください。
移動販売車に必要な「営業許可」を取る方法
移動販売の「営業許可」とは?
ではつぎに、営業許可について解説していきたいと思います。
営業許可証とは「保健所基準」をクリアした飲食店に対して、保健所からもらう許可のことです。
ここではキッチンカーで食べ物を調理し、販売する場合に必要な許可条件について解説していきますが、下記に該当する方はキッチンカーの営業許可は必要ありませんのでひとまずご確認ください。
移動販売車の許可がいらない販売①|お菓子やパン、お弁当
(調理済みの)パンやお菓子・弁当はキッチンカーの中で調理するわけではありませんので、キッチンカーとしての営業許可は不要です。
その代わりパンやお菓子・弁当の「製造所」として、施設(建物)の営業許可を取得する必要があります。
詳しくは「お菓子やパンの販売に必要な許可」で解説していますので、必要なかたはこちらをご参照ください。
ただし、調理済みのお菓子やパンと一緒にドリンクや食べ物を現地で調理して販売する場合には、キッチンカーの許可が必要ですので注意してくださいね。
パンやお弁当を移動販売車の中で作りたい!許可は必要ないの?
ちなみにお菓子やパン、お弁当をキッチンカーのなかで調理して完成させたいという場合には注意が必要です。
- 「自分で仕込んだ生地」をキッチンカーの中で焼き上げて販売する
- キッチンカーのなかでお弁当のおかずを作ってお弁当に詰めて販売する
このような場合↑、キッチンカーでの営業が許可されるかどうか保健所に直接確認してみてください。(保健所の探し方は後述します)
もしかすると自分で作ったパン生地では許可されず、業務用のパン生地を使うように指示されるかもしれないのでご注意ください。
移動販売車の許可がいらない販売②|野菜・果物
また「野菜」を販売される場合も、基本的にはキッチンカーの許可は必要ありません。
ただし、
- 白菜やキャベツ・りんごを半分にカットして販売したい
- 収穫した果物をジャムに加工して一緒に販売したい
などの場合は保健所の許可が必要ですので、【外部サイト】保健所管轄区域案内を活用し、最寄りの保健所でご相談ください。
移動販売車の許可がいらない販売③|食品以外のもの
最近はハンドメイド雑貨や服を移動販売スタイルで販売されている方もよく見かけますが、食べ物ではありませんのでもちろん許可は不要です。
ただし【外部サイト】古物商許可は必要になるかもしれませんので、そのあたりはご自身でご確認ください。
営業許可証取得で間違いやすい4つの注意点
以上が「キッチンカーの営業許可が不要になる場合」についての解説です。
この点をご理解いただいた上で、ここからはキッチンカーの営業許可取得で多くの方が間違いやすい注意点として、
- 許可取得はエリアごとに行うこと
- 営業許可の種類を確認すること
- 複数の許可を取得できるか確認すること
- 「仕込場所」について確認すること
の4つの解説に移りたいと思います。
(具体的なキッチンカーの内装設備は、記事の後半で解説します。)
営業許可の注意点①|許可取得はエリアごとに行う
まずもっとも誤解されやすい点としてご注意いただきたいのですが、キッチンカーの営業許可は全国共通の許可ではなく、「出店するエリアごと」に取得する必要があります。
たとえば東京で営業許可を取得したとしても、千葉県に出店する場合は千葉県の保健所に手数料を払い、改めて許可申請することになるのです。
営業許可の「条件」も保健所によって違います!
さらに営業許可の細かな条件やキッチンカーの設備も、保健所によって基準がまったく異なります。
首都圏では保健所の許可条件が厳しく、田舎に行くほど条件が緩い傾向にありますので、特に広範囲の出店を予定されている方はその違いをしっかり理解しておきましょう。
あなたが「許可申請する保健所」を調べる方法
以上のことから、許可を申請すべき保健所がどの保健所なのか、各自で確認していただく必要があります。
東京で出店する場合
東京はかなり丁寧なホームページが作成されています。
東京都内で出店を希望する方は【外部サイト】自動車営業の相談先を参考に相談すべき保健所を調べてください。
東京以外で出店する場合
東京以外で出店したい方は【外部サイト】保健所管轄区域案内を活用し、とりあえず「あなたが一番最初に出店したいエリアを管轄する保健所」に電話をしてみましょう。
キッチンカー開業の意向を伝えれば、あとは保健所の担当者が案内してくれますので、その指示に従ってくださいね。
営業許可の注意点②|営業許可の種類を確認すること!
つぎに注意していただきたいのが、キッチンカーの営業許可には種類が複数あるという点です。
複数ある種類のうち、キッチンカー調理販売するためには下記のいずれかの許可を取得することになります。
- 菓子製造業営業許可証
- 飲食店営業許可証
- 喫茶店営業許可証
あなたが売りたいメニューはこの3種類のうちどの許可証に当てはまるのか、保健所でかならず前もって確認しておきましょう。
各許可証の中身と手数料について、簡単にご紹介しておきますので参考にしてください。
飲食店営業許可証に該当するメニューと手数料

【取得手数料】
16,000円程度
【有効期限】
5年|以降5年ごとの更新制
【該当するメニュー】
肉や野菜を使ったメニュー、ご飯物、丼もの、お弁当、麺類など。アルコール販売が許可される場合もあり。
菓子製造業営業許可証に該当するメニューと手数料

【取得手数料】
14,000円程度
【有効期限】
5年|以降5年ごとの更新制
【該当するメニュー】
和菓子・洋菓子問わず、スイーツ系全般
喫茶店営業許可証に該当するメニューと手数料

【取得手数料】
12,000円程度
【有効期限】
5年|以降5年ごとの更新制
【該当するメニュー】
アルコール以外のドリンク、かき氷、アイスクリームなど
前述の通り、細かな許可条件は保健所によって異なるため、ご紹介した3つの許可の中身も各地域でかなり差があるように感じています。
たとえば関西では、コーヒーなどのドリンクは「飲食店営業」か「菓子製造業」に該当するとされるところが多いです。
ですから、どのメニューがどの許可に該当するのか、思い込みで判断せずに必ず保健所で確認するのが無難です。
営業許可の注意点③|複数の許可を取得できるか確認!

次に注意していただきたいのが、営業許可を取得する「数」に制限がないかどうかという点です。
どういうことかといいますと、例えば焼きそばとクレープを両方販売したい場合、
- 菓子製造業営業許可証
- 飲食店営業許可証
- 喫茶店営業許可証
の3つのうち焼きそばの販売には「飲食店営業」、クレープの販売には「菓子製造業」という2つの許可証が必要ですね。
この2つの許可証を同時に取得できればいいのですが、保健所によっては
- どれかひとつの営業許可証しか取得できない
- 普通車なら複数取得できるけど、軽自動車ではどれか1種類しか取得できない
など制限が設けられている場合があるのだということです。
「販売するメニューの数」に制限があることも・・・
また、販売する「メニューの数」にも制限がある場合があります。
このように、「取得する営業許可証の数」や「販売するメニューの数」についても、保健所で制限が設けられている場合がありますので、開業前によく確認していただきたいと思います。
営業許可の注意点④|「仕込場所」について必ず確認

注意点4つ目は「仕込場所」が必要かどうか、必ず前もって確認していただきたいという点です。
仕込場所とは?
「仕込み場所」というのは、キッチンカーで販売するメニューの「下準備」をする施設のこと。
「下処理施設」とか「一次加工所」とも言われ、キッチンカーとは別の営業許可のある建物のことを指します。
たとえば、
- クレープ生地を作るために粉と牛乳を混ぜ合わせる
- 焼きそばに使うキャベツを刻む
というように、「混ぜる・切る」という作業は異物混入や食中毒の発生源になりやすいため、屋内の仕込場所で行うことを義務付ける保健所が多いのです。
キッチンカーの製作費用だけでも大きな支出なのに、キッチンカー以外に営業許可のある建物を準備しろというのはあまりにも負担が大きすぎますよね。
移動販売(キッチンカー)の仕込を自宅で行ってもOK?
とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、自宅での仕込みは日本全国どの保健所でも禁止されているはずです。
どうしても仕込場所が必要だと言われた場合、キッチンカーオーナーとしてできる対処方法はないのでしょうか・・・・?
キッチンカー・移動販売で仕込み場所がいらないパターン
仕込場所の必要をなくす方法としては、
- 仕込みに該当する調理工程を省く
- 仕込みがいらない食材で代用する
の2つが挙げられます。
方法①|仕込みに該当する調理工程を省く
メニューはそのままでも、「仕込み」に該当する調理工程を完全になくしてしまえば仕込場所は必要ありません。
そこで、まずはあなたの売りたい商品の「どの調理工程が仕込みに該当するのか」、保健所に聞いて確認しましょう。
というのも申請する保健所によって、「仕込み」の考え方には多少ばらつきがあります。
どの作業が仕込みに該当すると判断しているのか、保健所に聞いてみないと分からないのです。
ですから仕込みに該当する調理工程を具体的に確認し、そのうえでその作業を省くことができないかどうか、考えてみてください。
方法②|仕込みがいらない食材で代用する
また仕込みに該当する部分を加工済みの(業務用)食材で代用すれば、仕込みは必要なくなる可能性が高いです。
たとえばクレープの生地を混ぜ合わせる作業が仕込みに該当する場合は、加工済み↑の冷凍生地を使う。
野菜のカットが仕込みに該当する場合は、このような↑冷凍野菜を使用し、包丁は一切使わない調理方法にする。
フルーツのカットができない場合は、このような↑缶詰のシロップ漬けに置き換えるなど、対処法としてはいろいろ考えらるかと思います。ぜひご検討ください。
仕込場所確保の方法|シェアキッチン・クラウドキッチン
以上のように仕込場所がいらない手立てを考えるのが一番ですが、どうしても仕込場所が必要だという場合には自分で営業許可のある施設(飲食店)を用意するしかありません。
- 知り合いの飲食店に頼んで間借りさせてもらう
- 飲食店の居抜き物件やプレハブ小屋を活用して、自分の許可施設をつくる
という方法も考えられますが、コストがかかりすぎて現実的ではありませんね。
そこで最近注目されている「シェアキッチン」をレンタルするのも一つの方法です。
すたーとあっぷきっちんのようなサービスを上手に活用しながら「仕込場所問題」をうまく乗り切ってくださいね。
移動販売車の許可取得に必要なキッチンカーの設備14
以上、移動販売に必要な資格のとり方と営業許可の注意点について解説してきました。
さらにここからは、営業許可を取るために必要なキッチンカーの内装設備についての解説に移りたいと思います。
キッチンカーに必要な設備としては、14の設備をチェックしておく必要があります。
具体的にどのような設備なのか、一つづつ順番にみていきましょう。
移動販売の許可に必要な設備①|水拭きできる「キッチン」
最近は軽トラックに搭載できる木製ボックスも販売されているのですが、キッチンカーの営業を前提に考えるなら購入は慎重にご検討ください。
というのも今は許可されたとしても、許可条件が変わって将来的に禁止になる可能性がないとは言い切れないからです。
コロナの影響もあり、保健所の許可基準が今後どのように変化していくか分かりません。
木製のキッチンを採用される方は、そのリスクも踏まえたうえで購入するようにしてください。
移動販売の許可に必要な設備②|水拭きできる「床」
キッチンカーの床面は、たいていコンパネ+フローリングマットの組み合わせで製作されますが、保健所の規定によってはロンリウムと呼ばれる素材で仕上げる必要があるかもしれません。
どのような素材を使って仕上げるべきか、まずは保健所に確認してください。
移動販売の許可に必要な設備③|キッチンの「仕切り」
軽バンや大型バンをキッチンカーのベース車両にする方は、「間仕切り」が必要になることがあります。
このようなタイプの車はキッチンと運転席の間が仕切られていないので、その代わりになるものを設置するようにしましょう。
取り付け義務のない保健所もあるので確認が必要ですが、「キッチン内部の見た目」という意味では運転席が見えないほうがオシャレに仕上がるかもしれません。
なお間仕切りに使う素材や作り方も注意が必要で、
- ある程度硬い素材を使用すること(ビニールシートなどはNG)
- 防水加工されていること
- 取り外せないように車体や床にしっかり取り付けること
- 大きな隙間がないこと
などの条件を満たすよう、指示されるかもしれません。
詳細をよく確認してから設置するようにしましょう。
移動販売の許可に必要な設備④|窓やサッシ・網戸
関東の一部の地域では窓やサッシを取り付けて、虫や異物混入を防ぐ必要があるとされている保健所もあるようです。
全国的にみてもこのような設備が必要になる地域は珍しく、ごく一部だと思われます。
設置が必要な場合は窓の大きさや取り付ける高さに規定があるかもしれませんので、必ず保健所で詳細の確認しておきましょう。
移動販売の許可に必要な設備⑤|換気扇
次に換気扇の設置についてです。
換気扇は設置が義務付けられている場合とそうでない場合があり、保健所によって対応は分かれます。
設置する場合は設置場所について規定があるかどうか、また換気扇の大きさに指定はないかどうか合わせてご確認ください。
移動販売の許可に必要な設備⑥|照明
関さらに、照明の設置も義務付けられています。
なかには「何ルクス以上」などと数値で明確に規定されている場合もありますので、どのような照明を釣りつけるべきか、確認するようにしましょう。
なお電源確保の方法については、あとでまとめて解説します。
移動販売の許可に必要な設備⑦|防水・撥水加工の調理台
キッチンカーに設置する調理台、水拭きできる素材が求められます。
そのため防水・撥水加工の施された木材や、ステンレス製の調理台を設置するようにしましょう。
大きさに規定はありませんが、木材は一切使用禁止の場合もあるかもしれません。ご注意ください。
移動販売の許可に必要な設備⑧|手洗い・洗浄用シンク
多くの保健所では、
- 手洗い専用シンクを1つ
- 調理道具の洗浄シンクを1つ
の合計2つのシンク設置が義務付けられています。
なかには3つの設置が義務付けられる保健所もありますので、各自確認が必要です。
またシンクの大きさは首都圏ほど条件が厳しく、長さ・奥行き・深さに至るまで、保健所で指定されている場合があります。
「何センチ以上」と明確に規定されてるところもありますし、「肘が入るくらいの大きさ」などと抽象的な表現の場合もあります。
材質としてはステンレスシンクなら間違いなく許可されますが、シンクの数も2個・3個と保健所によってまちまちです。
作り直しの必要がないように、十分確認のうえで製作する必要がありますね。
シンクの近くには石鹸と手指消毒液も忘れずに!
シンクの近くには石鹸(液体石鹸でもOK)と手指消毒液(アルコールスプレーなど)もいっしょに設置しましょう。
これは全国共通で必ず必要になるものです。
また営業許可の申請当日、保健所ではキッチンカー内部の設備をチェックされます。
その際石鹸や消毒液があるかどうかもチェックの対象となりますので、必ず購入しておいてください。
移動販売の許可に必要な設備⑨|水道用蛇口
またシンクの設置と関連して、水道を出すために蛇口を設置することが求められるでしょう。
ポリタンク付属のコックを蛇口の代わりとしても認められる場合もありますが、そのような保健所はごく一部。
多くの場合、家庭用の蛇口と同等のものを取り付ける必要があります。
さらに、蛇口は一つのシンクに対して一個づつ設置するのが基本です。
一つの蛇口の口を回転させて、複数のシンクで共用することは認められない可能性もあります。ご注意ください。
電動ポンプを使った水道システムが必要かも・・・?
ちなみに水道への水供給手段としては、「電動汲み上げポンプ」の設置が必要になる場合があります。
これはキャンピングカーでよく活用されている方法なのですが、この仕組を作るためには電源が必要になりますのでこの点も合わせてご確認ください。
(電源については後述します。)
移動販売の許可に必要な設備⑩|給水・排水タンク
キッチンカーのシンクで使う水道を確保するために、「給水タンク」に水を入れて搭載する必要があります。
同じくキッチンカーで使った汚水を貯めるために、「給水タンク」と同じ容量の「排水タンク」も必要です。
申請する保健所によっても違いますし、同じ保健所の中でも「メニュー」によって必要なタンクの容量は違ってきます。
具体的に何リットル分必要なのかを確認し、指示通りのポリタンクを搭載するようにしましょう。
タンクを連結し、「大容量タンク」に改造する必要も・・・?
ちなみに100L・200Lといった「大容量タンク」が必要とされる場合、一つのタンクでまかなおうとすると農業用の大型ポリタンクを搭載することになってしまいます。
ですが、キッチンカーの中でそのようなタンクを搭載するのは現実的ではないため、多くは20Lタンクを複数連結させて設置する場合が多いようです。
連結することを許可の条件にしている保健所もありますし、個別の設置で許可される場合もあります。
タンクの許可の細かな条件も確認したほうがいいでしょう。
移動販売の許可に必要な設備⑪|給湯設備
さらに水道設備とは別に、給湯設備の設置を義務付けられている場合もあります。
60度以上の熱湯を出せる「給湯器」を取り付け、家庭と同じような状態で使えることが許可の条件とされるのです。
給湯器の設置を求める保健所は全国的にみてもそれほど多くはありませんが、設置が必要かどうか、必ず保健所で確認をとりましょう。
移動販売の許可に必要な設備⑫|冷蔵庫・冷凍庫

次に冷蔵設備についてですが、食材を適切な温度で保管するためにおそらくどのキッチンカーにも冷蔵設備が必要になるはずです。
冷蔵設備としてクーラーボックス+保冷剤でも許可される地域もあるかもしれませんが、大半の保健所ではきちんとした冷蔵庫(冷凍庫)を設置しなければ許可されません。
業務用である必要はなく、家庭用のものでももちろんOK。
保冷する食材がないメニュー(例えば綿菓子とかポップコーン)であれば、冷蔵設備は必要ありません。
キッチンカーで使える冷蔵庫を知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

キッチンカーの走行中も冷蔵庫を使える状態にすること
なおキッチンカーに搭載する冷蔵設備は、出店場所に行くまでの間も使えることが義務付けられる可能性があります。
つまりキッチンカーの走行中も、冷蔵庫を使える状態にしなければならないということです。
首都圏ではこれを許可の条件にしているところが多いので、その点も含めて確認してください。
移動販売の許可に必要な設備⑫|電源設備
ここまでご紹介した換気扇や照明、水道設備、冷蔵庫をつかえるようにするには、電源が必要になります。
キッチンカーの電源確保の方法としては「現地調達」が基本となりますが、現地で電源を借りれない場合も多々あるでしょう。
そこで、多くのキッチンカーオーナーは「大容量の発電機」を搭載しています。
そのほか「サブバッテリー」や「ポータブル電源」という選択肢もありますので、保健所によく確認したあとで検討してみてください。
キッチンカーの電源について詳しくは、こちらの記事で解説していますので参照してください。

移動販売の許可に必要な設備⑬|備品収納ケース
さて、キッチンカーではさまざまな調理道具を使うことになります。
また、出来上がった商品を入れる容器や包装資材も搭載することになるでしょう。
それらの備品を安全に保管するために、収納ケースの設置が義務付けられることがほとんどです。
市販の蓋付きの収納ケースで許可される場合もありますが、吊り下げ戸棚をキッチンカーに取り付ける仕様を求められるかもしれません。
また容器の大きさに具体的な指示があるかもしれませんので、そこも含めて確認するようにしましょう。
移動販売の許可に必要な設備⑭|蓋付きのゴミ箱
最後にご紹介するのがゴミ箱です。
調理販売で出たゴミを廃棄できる大きさで、蓋付きのものであれば何でもいいと思いますが、もしかすると大きさの指定もあるかもしれません。
その都度ご確認ください。
以上の14項目の内容を参考にしつつ、あなたが許可申請する保健所ではどのような設備が求められるのか、十分にリサーチしてから製作に取り掛かりましょう。
ちなみに・・・・。
保健所の許可とは関係ありませんが、キッチンカーの調理でよく使われるLPガスの購入にも注意が必要です!
ガスの販売を断られるケースが多発しているからです。
ガスを使った調理を検討中の方は、LPガスの入手方法についてかならず確認しておいてください。

保健所で移動販売車の許可を申請する手続き・流れ
では最後に、保健所でキッチンカーの許可を取得するまでの手続きについて解説していきます。
手続きの流れとしては下記の通り。
- 保健所に相談し、キッチンカーの設備を確認する
- 申請用紙に記入し、保健所に提出する
- 保健所にて、完成したキッチンカーのチェックを受ける
- 合格の場合は2週間ほどで許可証交付
- 不合格の場合は内装設備を修正し、再チェックにて合格すれば許可証交付
- もらった許可証をキッチンカーの中に掲示し、営業スタート
念のため、ざっと流れをご説明しておきますね。
保健所に相談し、キッチンカーに必要な設備を確認する
なんどもお伝えしていますが、まずは保健所にキッチンカー開業の意向を伝えて、キッチンカーの許可条件や設備について確認しましょう。
保健所との相談は複数回必要になりますが、ここでしっかりと話しを聞いておくことで、キッチンカーの開業準備がスムーズに進むはずです。
申請用紙を保健所に提出する
次に必要書類の申請をします。
書類の申請のタイミングは保健所によって異なり、このあとの「キッチンカーの内装設備チェックの日」にまとめて書類を提出する場合もあります。
ここは各保健所の指示に従ってください。
保健所の手続きで申請する書類
保健所に提出すべき書類の中身も、各保健所によって多少ばらつきがありますが概ね下記のような書類の提出を求められるようです。
参考程度にごらんいただき、実際の書類づくりは保健所担当者の指導を受けて仕上げるのが無難です。
- 営業許可申請書
- 営業設備の大要・配置図
- 営業の大要
- 仕込場所の営業許可書の写し
- 食品衛生責任者の資格証明書類
- 車の車検証
- キッチンカーの車庫証明や地図
なお、申請と同時に手数料の支払いが必要です。
押印のための認印も忘れずに持参しましょう。
保健所にて、完成したキッチンカーのチェックを受ける
キッチンカーの内装設備まで完成したら、ようやく保健所のチェックを受けることができます。
このチェックに合格すれば約2週間ほどで営業許可証が完成しますが、設備に不備がある場合は不合格になることも・・・。
その場合は指摘された部分を修正し、もう一度チェックを受けてください。
基本的に保健所の指示通りに設備が整っていれば、不合格になることはありませんが、なんども足を運んだり作り直すのは手間も時間もかかります。
一回で合格するためにも保健所の許可条件はしっかり確認してから製作するようにしましょう。
さいごに|消火器の購入と保険の加入も忘れずに
以上が移動販売車に必要な営業許可証と資格のとり方となります。
全国共通ではないという点が許可取得のハードルになりがちですが、キッチンカー制作会社とも相談しながら、確実に許可が取れるキッチンカーづくりを目指してください。
なお業務用消火器の設置を指導する消防署が全国的に増えています。10型以上の業務用消火器も忘れず準備しておきましょう。
さらにキッチンカー開業にあたって、「自動車保険」と「PL保険(賠償保険)」の加入は必須です。

こちらの記事↑を参考に、営業開始に間に合うよう手続きしておいてくださいね。
それではまた。